月刊空手道連載用 特別編 第49話 空手の呼吸 NO.22009-07-10 Fri 13:09
人間の体は、うまくできている。どんなに筋肉を付けてもクワガタムシなどのように、小さく体を折りたたみ納めることができる。よく余計な筋肉を付けるな。と言うことを耳にするが、私の考え方は、余計な筋肉など無いということだ。昔から何々とハサミは使いようと言うではないか。筋力もあるに超したことはないのだ。つまり目的とする種目のパフォーマンスを高めつつ、同時に筋力を養うことである。
ただ、気を付けなければならない点は、怪我や病気をしないこと。筋力を付けることにり体に負荷がかかりすぎ、肉離れやアキレス腱の断裂などを起こさないようにすることと、タンパク質の取りすぎによる内臓疾患などに注意することである。 呼吸もまた然りである。呼吸をし過ぎると過呼吸状態となり、体にしびれが起こる。当然、体が弱ると呼吸も弱くなり、どんどん小さな呼吸となり、仕舞いには呼吸が止まり死に至る。 呼吸は、人間の体を維持するのに絶対に必要なものであり、体と連動し行われるものである。つまり、弱い呼吸で強い動作が行えるか。ということである。動作が強くなれば、必然的に呼吸も強くなるのである。ましてや、空手などの瞬発力を必要とする身体操作においては、強い呼吸が起こせなければ、強い技など出ないのだと言うことを理解しなければならないであろう。 世の中には、まだまだ昔の達人は凄かったなどと手品や幽霊やUFOや宇宙人をみるような幻想をふくらまし、唱える輩がたくさんいる。しかしながら今のトップアスリートの身体操作は、昔の達人を超えていると言っても良いくらいの進化を遂げていることを知るべきであり、各自の認識能力以上の技術は、例え、目の前で繰り広げられたとしても、見えないし理解できないものなのである。 はっきり言うと、空手競技の形の審判がそうである。私自身が日々審判員を勤めているから言うのだが、審判本人の認識能力以上の技は見えず、その判定が誤審であることに気が付きもしないのである。 空手界の審判団は、基本的にボランティアなので、これが限界なのであろう。 さて、話を戻すが、空手と呼吸はその全てが繋がっている。前話で、以下のことを書きましたので、思い出していただこう。 空手と呼吸はその全てが繋がっている。ではここで皆さんに、実際に私の言うことをやっていただこう。まずは、息を限界まで吸ってみてください。次に、限界まで息を吐いてみてください。どうでしょう。自分の呼吸の限界を感じていただけましたでしょうか。この限界も、実は幻想にしか過ぎなく、今あなたが感じた限界は、本当の限界ではありません。息はもっともっと吸えるし、また、もっともっと吐けるのです。 と書きましたが、ここで答えを明かしましょう。 それは、引き手や蹴込みなどの身体操作に伴い、空手の動きの中に自然と組み込まれている動きです。キックボクシングなどの完全にスポーツ化してしまった動きの中には、目に見えて行われなくなってしまっている身体操作ではないでしょうか。 息を吸いきった後に、・・・と更に息が吸えます。・・・と、又更に息が吸えます。この順番が逆でも同じです。息を吐くときは逆の体の使い方をします。 答えは以上ですので今回のお話はここまでにしておきます。後は、皆さんで創意工夫して空手の技に生かしてみてはいかがでしょうか。 (イメージ図及び、…の部分の説明をご覧になりたい方は、“月刊空手道”VOL.471、2009年9月号の連載記事、“空手技術開発プロジェクト”を、ご覧ください。) 第50話につづく。 スポンサーサイト
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